シャンパンに合わせたスペシャルディナー
2008年 3月 4日今回はちょっとお遊び。
年末、ふらりと入った某激安酒店の店の奥に、ワインセラーがポツンとあった。
なにげに中をのぞいてみると…
ん?え??なんでこんな店で??というようなワインがずらり!
しかもセラーのカギ掛かってない。
おそるおそるドアを開け、一本のシャンパンを取ってみた。
「ラ・グランダーム1990」
ヴーヴクリコ社の最高級シャンパンだ。しかもヴィンテージが1990年!!
どういう経緯でこの寂れた(失礼)田舎の激安酒店まで辿り着いたか知らないが、状態はどうなんだ??
しかし、セラーには他にも、前回のコラムで書かせてもらったドンペリのエノテークや5大シャトー、ナパのオーパスワンまである。しかも、店の名前の通り、「激安」なのだ!何年このセラーで眠っていたのか判らないが、この「ラ・グランダーム」かなりお買い得には間違いない。あとは、開けてみての状態次第だ。
かなりギャンブル。
頭の中で葛藤すること数分。
悪魔(バッカス)の誘いに負けてしまった僕は、当初の目的であった日本酒を買う事をすっかり忘れて、箱に入ったグランダームをレジへ持って行ったのだった。
さあ、最高級プレステージシャンパンを買ったが良いが、食事はどうする?
ただ飲むだけでは面白くない。
しかし、最高のシャンパンの可能性だって十分残されているのだから、最良の料理と一緒に味わいたい。
何処が良いか?誰の料理が良いか?
いろいろ考えていると、一人の料理人が頭に出て来た。
「岡村鉄平」
去年、薬院にオープンした「タパス オキ」のシェフだ。
同じ薬院にあるフランス料理「アトリエオキ」の姉妹店。タパスとは、スペイン料理などで言われる小皿料理の事。「タパス オキ」はイタリアンをベースにした創作小皿料理を出す。小皿料理だけあって、単価が安くて、気軽に入れる店で、ディナーに行くも良し、飲んだ帰りのちょっと小腹を満たしに行くもよし、と夜中まで開いているので使い勝手の良い店だ。
そんないい感じの店で腕を振るっているシェフの岡村さんに、いつもの小皿料理ではなく、あなたのフルコースを作ってもらえないだろうか?
しかも、“「ラ・グランダーム1990」にあわせた料理を”という無茶苦茶なお願いをしてみたら、笑顔でオッケー!
かなり失礼なお願いに心良く了解して頂き、改めて感謝します。
ありがとうございました。
そして、そのギャンブルのようなシャンパンと、岡村シェフのスペシャルディナー当日がやって来た。
一週間ほど前からシャンパンは店のセラーで保管して頂いていた。程よく冷えた ラ・グランダーム1990 を開け、グラスに注いでもらう。
緊張の一瞬。
凄い!という一言が出た。
18年の歳月でシャンパンは色濃く変化している。琥珀色のシャンパンという言葉がぴったり。
そして、味は?
凄い!とまた言ってしまった。こんな熟成されたシャンパンを飲んだのは初めてだ!
ボトルの中で呼吸をしてちゃんと育ってたのだ。濃厚な香りが凄すぎる!
小さく綺麗な泡がなんとも贅沢な瞬間(時間)を演出する。
そして、岡村シェフの最初の皿が運ばれて来た。
「FFETTA TO MISTO」(ハムの盛り合わせ)
自家製のパンチェッタと自家製サラミ、モルタデッラ(ボローニャ風ソーセージ)に
生ハム(サンダニエーレ産)。
パンチェッタとサラミはこのフルコースの為にわざわざ自家製で作ってくれたそうだ。感動です。
しかも、強いシャンパンの味によく合う。美味しくてシャンパンがすすんでしまう。
しかも次に出て来た皿が、「INSALATA DI BOTTARGA」(自家製からすみのサラダ)
またまたこの日のための自家製。申し訳ない。腕ふるい過ぎです岡村シェフ!!
これまたこのサラダがシャンパンに合う!
やばい、メインまでシャンパンが残らない!もちろん、からすみも最高に美味い。
シャンパンを開けて乾杯をした際、一杯だけ料理に使いたいので頂いていいですか?という申し出があったので、もちろんどうぞとグラスに注いだ。
そしてシャンパンを使った料理が次に出てきた。
「RISOTTO CON FRANGOLA E SPUMANTE」(苺とシャンパンのリゾット)
苺のリゾット??
うわぁなんだこれ?と正直最初は思った。リゾットなので、もちろん温かい。
その上に苺?色もピンクだし。おそるおそる一口食べて見る。
もう一口食べてみる。
ん、ん、さらにもう一口。
んん、んん、んん、もう一口。
なんだこれ?だんだん美味くなってくる。
凄い!!これは美味い!!!
最近はテレビ番組のレギュラーも持つ、某有名作家の書いた本の、「今まで美味いと思う料理は世界中で食べてきたけど、凄いと思った料理は、◯◯◯氏の料理だけだ!」というくだりを思い出させるくらい、凄いリゾットだ。
これは美味い。
絶妙なバランス。甘く濃厚な味にシャンパンの香りが微かにある。凄すぎる一品だ。
リゾットの興奮がさめないうちに次の皿がやってきた。
「TAGLIOLINI CON RICCI DI MARE」(ウニのタリオリーニ)
こちらも自家製生タリオリーニ。
スペシャルだけにかなり手間をかけて作って頂いたようだ。
しかし、イチゴのリゾットの後にはちょっと塩加減が強く感じたのがもったいなかった。
順番なのか?加減なのか?微妙なところだったかもしれない。
単品で食していれば、間違いなく絶品。
「AKAMUTSU ALLA CARTOCCIOBIANCO CON QUATRO CONGCHILIE」(アカムツのホイル包み焼き4種類の貝と)
高級魚のアカムツ。
どんなにしても美味しいと言われる魚をアサリ、蛤、ホタテ、ホッキ貝の4種とホイル包み焼き。これが出て来る前から、結構お腹がいい感じになりつつあったのだが、一口食べて、パンを追加する。
その後、会話もなくアカムツをひたすら食べる。脂がのってメチャメチャ美味い。
パンが来てからはソースにつけながら頂く。なんとも贅沢なホイル包み焼きだ。
シャンパンがもうグラスに少ししか残っていない。
メインもう一皿は、
「QUAGLIA CON FEGATO DI OKA, PANCETTA,CAVOLO NEO,SALSA SUGODI QUAGLIA」(パンチェッタ・キャベツ・フォアグラの入ったウズラの包み焼き)
なんとかシャンパンが残ってくれている間に出て来てくれた。
ナイフを入れて、一口食べる。
美味しい。素直に美味しいと思った。そして、シャンパンにも合う。しかし、僕らはもう満腹だったのだ。悔しい。こんなに贅沢な事はない。満腹感で目の前の素晴しい料理を素直に喜べないのだ。頭に浮かんだのが、去年の美食会。(過去のコラムを参照してください。)
肉のメイン料理が来た頃には満腹で箸が進まなかったことがあった。同じ感覚だった。
しかし、シェフ岡村がこの日の僕らのために作ってくれたスペシャルディナーを残すわけにはいかないので、完食。
最後にはデザート。
「MACEDONIA」(フルーツカクテル バニラアイス添え)
満腹でもデザートはすんなり食してしまえるのが不思議だ。
濃厚なソースの魚と肉料理の後には良い一品。ちょっとアルコールが強かった感があるけど、問題は別なところにあった。数日前に、東京銀座の千疋屋でフルーツポンチを食べて来たのだった。どうしてもそれと比べてしまった。
コース料理の最後のデザートと、単品でしかもフルーツでは有名な千疋屋では、ちょっとハンデがあり過ぎだが、記憶に残ってしまっていた。
しかし、全体を通して、素晴しかった。
改めて岡村シェフ、タパスオキのスタッフ皆様に感謝をします。僕の勝手なワガママを聞いて頂き、この日の僕らのためだけに作ってくれたスペシャルディナー。
堪能させて頂きました。
今度は、ちゃんと普段メニューのガーリックオイル焼きのアヒージョやトリッパを食べに行こうと思う。たぶん、飲んだ帰りにちょっと小腹を満たしにね。
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タパス オキ
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やまちゃん